10月末にTENTONHAMMERのtierlistが更新されていましたが、いつも月初めに更新してたのですっかり見逃してしまいました。Countessが出てから間もない更新だったので翻訳の記事は11月中の更新に回したいと思います。


ちなみに、Tierlistの変更点は以下のような感じになっています。簡単な意訳付き


Countess→Tier4

ウェーブクリアは優秀だが、Kallariと同様の問題を抱えている。タワーを守れず、エンゲージされるとひとたまりもない。彼女はプレイしててすごい楽しいんだけど、固いビルドを組んでいる奴に対して非常に制限されてしまう。


Gideon→Tier4

最近の環境ではほとんどのプレイヤーがヘルスやアーマーを積んでおり、Gideonの影響力が下がっている。高いレート帯でよく見られるDekkerやRampageに簡単にUltを止められてしまう。ウェーブクリアも遅い。




というわけで、今回はADCのビルドの変遷についてです。メタが変わり、ゲーム全体のビルドの傾向も変わっている中、ADCのビルドにも変化が見られます。具体的に言うと、アーマー貫通のステータスをそれほどあげなくなってきているということです。


どのようにビルドが変わってきているのか、理由は何なのかなどを探っていきたいと思います。



はじめに……ヘルス重視、『Satori Cloak』を中心としたメタ環境



以前は『アーマーメタ』と呼ばれるほどアーマーを積む人がとても多くいました。それはアーマーを積むことで得られるダメージ低減効果の効率が非常にいいからです。


しかし、現在は若干変わってきています。皆さんご存知、『Satori Cloak』を筆頭とする対アーマー効果のカードにbuffが入ったからです。


「paragon satori cloak」の画像検索結果<俺の時代だ!!


事前情報だけでも相当な””圧””を放っていたこのカードですが、出たら出たで案の定、環境を大きく変えうるカードだったわけです。


細かい話はともかく、Satori Cloakが表舞台に出てきたことで、少しくらいアーマーを積んでもほぼ意味がない状況というのが多くなりました。


そのため、ADCはアーマーを積むのではなく、ヘルスを積むことでフィジカル、エナジー両方に対する耐性を高くするという方針を取るビルドが現在は主流となってきています。


また、最近ではBlink関連のカードを搭載することがほとんどで、アーマーを積んでカードスロットが埋まってしまうというデメリットを避ける狙いもあります。オープンベータが始まって数か月経ちましたが、Blinkカードの強さが多くのプレイヤーに認識されつつあるといったことでしょうか。



AR,ERpenをたくさん搭載する理由が無くなってきているという事実



Murdock.png

たまにこんな人がいる。見栄えはいい。溶けすぎ^ぃ~!


アーマーを積まない相手に対して腐ってしまうという問題点


ペネトレーションはアーマーを削ることはできますが、ダメージが上がることはありません。


仮に8CP相当のアーマー貫通(128ARorERpen)を積んだ場合、アーマーを積んでいない相手に対して3~5CPが腐ってしまいます。


最近はBlinkの普及やSatori Cloakの登場によってADCやキャスターがアーマーを積むことが少なくなってきました。ですので、アーマー貫通を積むことが効果的な相手が減ってきているという事実があります。



アーマーをたくさん積んでいる相手に対しては焼け石に水


アーマーを積まなくなってきてるという話ですが、それは当然ADCやダメージ重視のキャスターのことであって、タンクサポートやファイターロールのヒーローではもちろんがちがちに積んでいます。


どれくらい積まれるかという目安ですが、以下のような感じかと思います。エナジーとフィジカルがごっちゃになっているのは気にしないでください(*´ω`*)



例・フィジカルアーマーの目安


1.ダメージを重視したファイタービルド

Feng Mao.png 

or

Feng Mao.png 


増加アーマー値……198



2.Satori Cloakを搭載している場合、純タンクサポートの場合

Feng Mao.png 


増加アーマー値……264



このような感じでビルドを組んでいる人が大半だと思います。例に出しているFeng Maoなら、これに基礎アーマー55.6を加えて、


1……253.6AR

2……319.6AR


がLv.15の時点でのアーマーになります。


Lv15でアーマーが250もあれば相手の攻撃を50%もカットできます。300で55%カットできます。


そこで、アーマー貫通を積んで何割かのアーマーを無視できたとします。ゲームを始めた時から所有している初期カードの『Fist of Kings』を目安として、8CP相当のARorERpen128のステータス上昇があるとします。


1……253.6-128=125.6

2……319.6-128=191.6


1のファイタービルドはアーマーが125.6まで下がりました。アーマー値125.6はおおよそ35%のダメージカットといったところでしょうか。こちらのダメージが15%多く通るようになりました。


2の純タンクのビルドに対してはアーマーが依然191.6もあり、ダメージが45%もカットされてしまいます。10%ほどダメージが多く通るようになしました。




……




どうでしょう。8CPもアーマー貫通に費やしたにも関わらず、ダメージがそれほど伸びていません。


次に、通常攻撃によるDPSの効率の良さについて見ていきます。今回はMurdockで仮にビルドを組んでみました。





各ビルドのステータス上昇値

1.ED(234)、ERpen(192)、HP(1000)、Blink

2.ED(247)、ERpen(64)、AS(33)、HP(1000)、Blink


2つのビルドの違いはMeltdownとWhirling Wandを入れ替えただけです。では、この2つのビルドの通常攻撃によるDPSを比較していきます。Murdockのレベルは15とします。




まず、1秒間に何発の通常攻撃を行えるかを計算します。計算方法は


(Hero Attack Speed+5.5*CP in AS)/(Base Attack Cooldown*100)


となっております。


1……(139.2+5.5*0)/(1.5*100)=0.928

2……(139.2+5.5*6)/(1.5*100)=1.148


次に、通常攻撃一発あたりのダメージを計算します。こちらの計算方法は


Hero Damage+(6.5*CP in DM)


となっております。


1……65+(6.5*36)=299

2……65+(6.5*38)=312


最後に、上記二つをかけ合わせます。これでDPSが算出できます。


1……299*0.928=277.472

2……312*1.148=358.176


小数点以下を四捨五入すると、それぞれのDPSは


1……277

2……358


となります。こうして数値にしてみると大分違うことが分かりますね。


では、アーマーを積んでいる相手に対するDPSはどうなるでしょうか。


Murdock#1のビルドの場合

対ファイタービルド

アーマー(254)-アーマー貫通(192)=残アーマー(62)……おおよそ20%のダメージカット

DPS=277*0.8=221.6


対純タンクビルド

アーマー(320)-アーマー貫通(192)=残アーマー(128)……おおよそ34%のダメージカット

DPS=277*0.66=182.82



Murdock#2のビルドの場合

対ファイタービルド

アーマー(254)-アーマー貫通(64)=残アーマー(190)……おおよそ43%のダメージカット

DPS=358*57=204.06


対純タンクビルド

アーマー(320)-アーマー貫通(64)=残アーマー(256)……おおよそ50%のダメージカット

DPS=358*0.5=179


このような感じになります。改めて見てみると、タンキーな相手に対してはDPSに違いがあまり出ていませんね。アーマー貫通をたくさん積んでダメージをたくさん通せるようにしても、通常攻撃によるDPSの効率はあまり良くならないことがわかりました。


そして、もう一つ問題があります。アーマーを積んでいない相手に対するDPSです。


もう一度、Murdockの2つのビルドのDPSを確認しましょう。


1……277

2……358


この2つは、すでに全てのヒーローのLv.15時点での基礎アーマー以上のアーマー貫通を積んでいます。つまり、このDPSがそのまま相手に通る計算になります。


この2つのDPSの差は81dm、先ほどのアーマーを積んだ相手に対する以上に大きな差が生まれています。


最近はADCやキャスター、アサシンよりのファイターまでもがアーマーではなくヘルスを多く積むビルドを採用している中、このDPSの違いは非常に大きなものとなります。



もう一つのメタ……プッシュメタ



KBSトリオ


今のパッチではシージミニオンのタワーに対するダメージが非常に高く、いたずらにミニオンウェーブを放っておくと激しいタワーシージをミニオンから喰らってしまいます。


そのため、素早いウェーブクリアが求められることが多く、ミニオン処理の遅いヒーローは苦戦を強いられることが多くなっています。(例:Gideon、Kallari、Khaimeraなど)


そして、ミニオンはアーマーを持っていません。つまり、ミニオン処理を早くするためにはアーマー貫通を積まずに基本的なダメージの底上げを図った方が効率的です。


ミニオン処理が早くなる恩恵はジャングルの中立ミニオンに対しても言えることで、さくさくジャングルの中立をつまみ食いできればそれだけ育つ速度が速くなります。


こうした面からもアーマー貫通を積まない理由が見て取れます。



『プレイスタイル』に合わせてアーマー貫通を積む




先日、imsKo(海外の強豪ADCプレイヤー)が配信にて

「どうしてMurdockのビルドにASを積まないの?」

という質問を受けていました。それに対してimsKoが以下のように答えていました。(聞き取りが違う場合もあるので間違ってても許してね☆)


imsKo

「プレイスタイルにもよるが、自分の場合は通常攻撃でダメージを与えるのではなく、アビリティでのダメージを重視している」

「仮にASを6CP積んだ場合、通常攻撃によるDPSは上がるが、アビリティに恩恵は無い。EDに6CP振った場合、アビリティそれぞれに恩恵がある。Qが+40、右クリックが+40、Eが25、Ultが+60の増加ダメージがある」

「もし全てのアビリティを当てられたら160ものダメージ増加が見込める。自分としてはこちらを好む。アビリティを駆使してバースト火力を出したいから。これが答えかな」


と、こんな感じで答えてました。


この問答は「どうしてASを積まないのか?」というもので、アーマー貫通とは若干離れてはいますが、アビリティによるバースト火力を重視する場合、アーマー貫通を積極的に積んでいくことが好ましいかと思われます。


というのも、アーマー貫通はアビリティにも適用されるので、DPSではなくアビリティによる瞬間火力を重視する場合はしっかりとアーマー貫通を装備しておかないと火力が出し切れなくなってしまうからです。


実際、imsKoはMurdockとGRIM.exeのビルドはしっかりとERpenを積んでいることが多いです。


一方で、レート上位に君臨する強豪ADC使いのiCameronはSparrow以外の3ADCについては貫通に4CPのみ積み、Sparrowに至っては貫通を積みません。


これはDPSを重視した結果だそうです。


このような形で、プレイスタイルに合わせてビルドを変えてみるのも面白いかと思います。



おまけ:クリティカルは採用されないの?



<呼んだ?

Twinblast.png<ん?……ううん、呼んでないよ

<悪いな、時代は””Blink””なんだ

<そう……


今はBlinkを積むことが多く、カードスロットの枠もそれほどありません。また、クリティカル自体大して強くないので結局あまり見ません。普通にAS上げたほうがDPS上がりそうです。アビリティにも乗りませんし。本当にTwinblastくらいではないでしょうか、可能性があるとしたら。もしかしたら今後陽の目を見ることがあるかもしれませんが、どうなんでしょう。現在は死にステータスと言わざるを得ません。


まとめ



  • 最近はアーマーを積まずヘルスをたくさん積んでいるADCやキャスターが増えてきている

  • 逆に、アーマーをがちがちに積んでる敵に対してはあんまり効果が出ない

  • DPSを重視したいならPenは最高でも基礎アーマーを貫通できる4CPくらいがベスト

  • アビリティによるバースト火力を重視したいなら多めに貫通を積もう

  • クリティカルはヒーローを選ぶので、よく考えて運用しよう 







……そろそろ新ヒーローADCでもええやろ!な、エピックさんなら分かってくれるって!さすがに来るでしょHAHAHA!